創業者の過去 その5
ようやくソケットが完成した。
さアできたぞと、自転車に積んで出かけたが、まるで相手にしてもらえませんでした。
十日間、毎日大阪市中を走り回って、売れたソケットがわずか百個、収入にして十円では、一人でも食べてはいけない。
ましてこのままでは問屋が引き受けてくれないとあっては、さらに改良が必要です。
といって、その間の持ちこたえのできようはずもなく、月末の支払いに回す金もないとあっては、やめるよりしようがない。
元同僚二人が去っていくと後は夫婦と義弟の歳男だけとなりました。